人間が地球以外の場所で暮らす―。
そんなSFのような未来に真剣に取り組んでいる人達がいるのをご存知ですか?
それがNASA(アメリカ航空宇宙局)です。
NASAは地球から最も近い火星を人間が住める環境に作りかえ、将来的に火星への移住を現実のものにしようとする活動を続けています。そんな活動の一つに「苔」によるテラフォーミング(惑星地球化計画)があります。
このための実験として、キノコや苔類を18ヶ月に渡って火星に酷似した環境置き、生存できるか調査したところ、60%以上の細胞に変化が起こらず、DNAも安定した状態だったそう。
今日はそんな壮大な計画に苔が関わってる、という話題をご紹介します。
火星とは?
太陽系の内側から4番目の星。
地球との距離は最接近時で7,528km。スペースシャトルで移動すれば半年でたどり着けます。
直径は6779km。大きさは地球の約半分。
重力は地球の1/3。地球と同じく四季があるとされていますが、太陽からの距離が地球よりも遠いこと、保温に必要な大気が薄いことから、気温は地球と比べるとかなり低く、平均気温は-43度、平均地表温度は-63度です。
最低気温は-140度、最高気温は20度と気温差が激しいのも特徴です。
しかし今、多くの研究が進められ、38億年前の火星は、現在の地球のように厚い大気で覆われ、水が存在していたことがわかりました。
そして今、火星には地下水が眠っているのではないかという研究が盛んにされています。
薄すぎる大気は今、火星に近くに人工的に地場を発生させることで、大気を作り出すという研究がされています。これが実施されれば約半年の間に地球の半分ほどの大気によって火星全体が覆われるのでは?と考えられているようです。
なぜ火星に「苔」なのか
上述したように、火星は過酷な環境です。ほとんどの植物は現段階だと繁殖どころか生存することも困難です。しかし、苔は例え切り離したとしてもその断片からクローン化して増えることができます。
苔は胞子を飛ばして増える以外にも、この断片から増える方法、脇芽、地下茎からなど様々な繁殖手段をもっています。
また、乾燥か過酷な気温下では休眠し、エネルギーの無駄遣いをしません。
他の植物がまだ繁殖活動に入らないような寒い時期でも活発に胞子を飛ばし、繁殖します。
このような逞しさから、火星の緑化候補として選ばれています。
火星での酸素は苔が担う?
火星への移住の課題として、酸素が少ないという問題も解決しなくてはなりません。
地球は窒素が70%、酸素が20%ほどであるのに対し、火星は90%以上が二酸化炭素。人間の呼吸に必要な酸素は0.1%以下とされています。
この問題に対しても苔の光合成が期待されます。
地球に今いる生き物の酸素量が供給されるようになったのは約4億年前。知的生命体の繁栄を可能にしたのは、約4億7000万年前に始まったコケの増殖だったとする論文があります。
これと同じことを火星でも期待しているとすれば、苔が選ばれる理由も分かりますよね。
苔は1990年代から何度も宇宙を旅している
苔が初めて宇宙に持ち出されたのは1997年。
スペースシャトルコロンビアでのことです。その後も何度となく苔は宇宙を旅して、無重力での生存の他、地球以外の大気、過酷な環境化で生育できるかどうかの実験が行われてきました。
私達の未来を苔が担っているかもしれない。
そう思うと身近な苔がますます愛おしく思えますよね。これからの苔の活躍から目が離せませんね。
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