初心者でも失敗なし!苔の正しい育て方

苔の育て方

苔―。
とっても身近ですが、育てるとなると??な方は多いようです。

参考になる本も、ネットにある情報もまだまだ少ない苔の育て方。
ここでは、これから苔を育てたいと考える方に、正しくその育て方を理解してもらえるように詳しくその方法をまとめていきます。

【基礎知識】苔は適応力の高い丈夫な植物です

苔は強い植物

あなたは苔に対して、どのようなイメージを持っていますか?
小さくて、弱弱しい―。
そんな風に感じている方もいらっしゃると思います。

苔は儚げな外見からは想像できないほど、実はタフな植物です。
土・水・光・熱」が整っていればトラブルなく育ちます。

苔は根から養分を吸いません

苔の仮根

苔を育てようと考えた時、「一体どんな土が合っているのだろうか?」と考えると思います。
苔のために用土を考えるのはとても大切なこと。

でも、ここで一つ正しく知ってほしいのは
苔は根から養分を吸い上げる植物ではない」ということ。

私達の身近にある植物の多くは種子植物。
葉・茎・根に分かれており、その根は土壌からの水分と養分を吸い上げて栄養にします。

しかし、苔にはそのような根も、水分や養分を運ぶ維管束もありません。

苔をひっくり返してみると確かに根のようなものがあります。
しかしこれは「仮根」といい、土壌にくっついて離れないための役割を担っているだけで、栄養は吸い上げません。

ではどうやって苔は栄養を確保しているのか。
苔は空気中の湿気を葉から吸収することで細胞を潤し、光合成によって栄養を作り出しています。

言い換えれば、肥沃な土も肥料も不要ということ。
苔は木の上でも岩の上でも育つのです。

土に求められるものは「適度な保水性」と「排水性の良さ」だけです。

苔は簡単に死にません

苔は死なない

地球が誕生したのは今から46億年前と考えられています。
最初に命が生まれた場所は38億年前の海。

そこから長い間、生命活動の舞台は海の中に限られており、初めて陸上での生命活動が始まったのは今から約4億8千年前と考えられています。

最初は緑藻類という藻類が起源とされていますが、そこからの進化により植物として最初に繁栄したのが苔だという説があります。
それ以来、苔はほとんどその姿を変えることなく現在まで繁栄を極めています。

なぜ苔は約5億年もの間、過酷な試練を潜り抜け太古の姿のまま繁栄できたのか。
それは苔はどんな環境でも生き延びることができるタフな能力を持っているからなのです。

例えば苔が苦手とする低湿度、直射日光という環境でも、実は苔は死にません。

多くの苔の種類は葉を茶色く縮れさせ、カサカサの枯れたような状態になります。
生育を止め、見た目は完全に枯草ならぬ、枯苔です。

ですが、苔は死んでしまったわけではありません。
多くの場合、水を与え、適切な湿度環境・半日蔭など苔の好む環境に戻すと多くの場合復活します。

苔は過酷な環境下になると自身を「仮死状態」にしてその環境が変化するのを待つことができるのです。
この能力により、苔は長く生き延びることができるのです。

ただし、熱湯をかける、薬剤散布などの方法で苔を枯らすことはできます。
ゼニゴケなどは酢を散布するだけで弱って死んでしまうというデリケートな一面も少なからずあります。

ただし、下記に記したように苔は繁殖のための手段が2種類あります。
胞子が蒔かれた後や、無性芽が残ってしまった場合には再度繁殖を繰り返す結果となるでしょう。

種ではなく胞子とクローンで繁殖する

苔がつける朔
出典:http://blog.goo.ne.jp/cario888/e/041f3bd92c994f1df885b4af096ca7c0

苔の繁殖方法に「蒔き苔」というやり方があります。
苔を小さく揉み砕いて、用土の上にパラパラと種のように蒔く方法です。

この時、苔をカラカラに乾燥させそれを粉砕したものを蒔いても苔は繁殖します。
むしろその方が繁殖がスムーズ。

苔は胞子を作ることで、子孫を残し、母体から切り取られた無性芽によりクローンを作ることができます。
子孫よりもクローンを作る方が早い場合が多く結果、上記したのように繁殖がスムーズという結果になるのでしょう。

苔の基本の用土は

苔テラリウムの土を用意する

樹皮培養土がおすすめ。
扱いやすく、分解速度も遅いため臭いが出にくいという利点もあります。

ただし生産者向け販売が多く、入手が難しいというデメリットもあります。
ですが、近年の苔テラリウムや苔玉人気により、ホームセンターやネット(Amazon、楽天など)でも少量から取り扱いがされるようになってきました。

◎参考
杉の樹皮から生まれた天然の培養資材【クリプトモス】 5L(楽天)
↑園芸用土のイワモトさんでは少量から樹皮培養土を販売しています。
4,200円から送料無料になるのもおすすめです。
※クリプトモス=杉の樹皮培養土の商品名です。

入手が難しい場合にはピートモスに赤玉土(小粒)を混ぜたもの(7:3がよい)や、苔玉のように土に粘りが欲しい場合にはケト土:赤玉土(小粒)7:3も用土におすすめです。

土のにおいが嫌いなら

土は独特のにおいがあります。
人によっては「土臭い」「カビ臭い」などと感じ苦手意識を覚える方もいます。

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そんな時にはもみ殻を炭にした「くん炭」を土に少量混ぜるとその臭いが緩和されます。
握りこぶし大の土に対して小さじ1くらいが目安です。
くん炭
ホームセンターなどで販売しています。

土作りに神経質にならなくてOK

苔は岩でも腐木上でも、コンクリートでもどこでも育ちます。
苔のためのベッドとして、完璧な土壌を求めるのは、苔にとってとても優しい心遣いだと思います。

でも、上記したようにある程度の「保水性」と「排水性」があればそれで充分です。
そもそも岩に育つ苔なら土に保水性など必要ないのかもしれません。

後述しますが、苔は空中湿度があれば比較的どこでも育つのです。

水やりと湿度管理

苔の水やり

苔を育てる上で水やりと湿度管理は欠かせません。
苔の中には比較的乾燥を好むものもありますが、砂漠のようにカラカラな場所には育ちません。

ある程度の湿度は必要になります。
空気中にオープンな環境で育てるものは、乾燥したかなと思ったら霧吹きでスプレーしてあげたり、バケツに水を張り、空気が出なくなるまで沈めてあげる方法などで水を与えます。

腰水という方法もあり、小皿に水をれてその上に苔を置く方法もあります。
ただし、比較的乾燥を好む苔の場合には小清水に浸っている部分が茶色く変色することもあるのでよく観察しながら行う必要があります。

最も簡単なのは密閉した容器に入れてしまうこと

苔テラリウム

苔は空中湿度を葉から取り込みます。
そのため、苔のある環境を安定して湿度を供給できる場所にするのが理想だとも言えます。

これに最も適した管理方法が蓋つき容器での「苔テラリウム」です。
密閉した容器に入れることで、湿度が保たれやすいのです。

注意点はテラリウムの上側半分~1/3に空間を作ること。
これにより空気の循環ができるようになります。

管理方法は簡単。
直射日光の当たらない場所に置き、週に1回から2回蓋を開けて、息を吹きかけてあげます。
葉の様子を見て、瑞々しさが足りないようならたまに水を吹きかけてあげます。

葉が生い茂り過ぎたと思ったら、長すぎる部分をハサミでトリミング。
これだけです。

光の管理方法

苔の光の管理方法

苔は日の当たらない場所を好むように思われますが、全く日が当たらないのはNGです。
なぜなら苔は葉緑体を持ち、光合成により栄養する植物だからです。

苔の種類にもよりますが多くは日陰~半日蔭を好みます。
窓際など直射日光が当たる場所は避けましょう。

LEDや蛍光灯でも十分です。

高熱による蒸れは大敵です

苔は耐寒性に優れているものが多く、雪の下でも元気に緑の葉を維持することができるものが多いです。
しかし、その反面高熱は苦手。
さらに、それに伴う蒸れも嫌います。

夏の暑い日にたっぷりと水分を与えた上で強い日差しの当たる場所などに置くと葉が蒸れを起こし生育を止めたり、茶色く変色したり、場合によっては腐ってしまうこともあります。

夏の水やりは涼しい場所、時間に行い蒸れを起こさないような配慮が必要です。

苔の成長はゆっくりです

苔の成長はゆっくり

苔を育て始めると一日一日に変化を求めてしまいますが、苔の増殖はとってもゆっくり。
庭いっぱいに苔を繁殖させたいと思っても、数年かけて数センチしか覆土しないものもあります。

苔の増殖は他の植物と比較せず、遅くて当たり前と気長に育てる気持ちでいましょう。

ただ、苔の繁殖は遅くとも季節による変化は十分に楽しめます。
秋になると胞子体が出来はじめ、次第に朔柄を伸ばしてきます(品種により伸ばさないものもあります)。

春になると胞子体の先端が膨らみ朔を形成します。
そして春の終わりから初夏頃に胞子が散布されます。

このような苔の移り変わりで季節感を感じることもできるのです。

苔の育て方・まとめ

苔の育て方まとめ

苔は「よし、やるぞ!」と気合いを入れるのではなく、「ちょっとやってみるか」くらいの緩さで十分育つ植物です。

陸上の苔も育て方次第では水中化することもできる(全ての品種ではありませんが)ほど、環境に柔軟な姿勢を持っています。

ちょっとくらい水やりを忘れても、存在を忘れて気が付いたら茶色くなっていても・・・まぁいいではないですか。

また水をあげて、たまに目を配ってあげてください。
苔はあなたのわずかな心遣いがあれば元気に生き生きと生育を始めます。

そんな苔の強さに時に慰められることもあるかもしれません。
気長に、そして気負わず付き合う植物。

それが苔だと思いますよ。

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