苔の魅せる四季はのんびり♪苔の1年を知ろう

苔の四季 苔の育て方

いつも美しい緑を見せてくれる苔ですが、
この苔も一年を通してちゃんと変化があるのをご存知ですか?

花や草、木のようにハッキリと分かりやすい変化ではないのですが、毎日見ていればちゃんと気が付くことができる美しい命の営みがそこにはあります。

ここでは苔の1年をまとめてみました。

冬 12月~2月

苔の冬
ほとんどの苔は雪に覆われてしまう季節。
水分の多い苔は霜が降る時期に凍りつくこともあります。

雪が降らない場所でなら、寒さにより苔が赤茶色に変色していくのが見られることも。
スギゴケやスナゴケでは特に顕著に赤く変色していきます。

この時期は生育はストップ
コロニー形成はおろか、苔自体の伸びも止まります。

他の植物にも共通していることですが、冬は苔にとっても「休息の季節」だと言えます。
でも、一つ苔が他の植物と違う点があるとすれば、それは「枯れない」ということ。

凍っても、寒風に晒されて赤茶色に変色しても、一切の水を与えられず葉がくるくるに縮んでも苔は死んではいません。
眠っているだけです。

水を上げなかったシッポゴケ
上記は乾燥したシッポゴケ。
完全に茶色く変色した部分はやがて、地に落ちるとそこから無性芽が伸びてきます。

撒き苔法はこの方法を応用したものです。

春 3~6月

苔の春
苔は2月の下旬~3月にかけて秋頃から伸び始めていた朔柄の先端が膨らみ始めます。
いわゆる朔、胞子体の部分。
この中には苔の胞子がたくさん作られています。

この朔が特徴的なのはタマゴケ。

寒い時期にはまだスッととんがっているだけの朔が次第に丸くなり、次第に風船のような形状に変化していきます。
さらに成熟が進むと玉の中心から茶色く変色していきます。

最後にはこの朔が破れて胞子体が放出されるように。
冬のタマゴケ
真冬のタマゴケ↑
見えにくいですが、細筆のような朔がたくさんついています。
タマゴケの朔アート
タマゴケの朔アート
3月。タマゴケの朔が丸く膨らみました↑
この時期、こんなアートを楽しめます( *´艸`)
タマゴケの成熟が進む
タマゴケの成熟が進み、「目玉の親父」状態に↑
さらに成熟が進むと、朔全体が茶色く変化し、やがて破れます。

スポンサードリンク

朔から胞子が放出され風に乗って繁殖します。

これと同時進行で行われるのが新しい造精器と造卵器の成長。
苔は雌雄異種。

雄植物と雌植物の配偶体に、それぞれ造精器と造卵器を作り、5月~6月に受精が行われます。
結果、胞子体が出来て、朔柄が伸び、胞子散布に繋がるのです。

夏 7月~9月

苔の夏
適した環境にある苔にとって、夏は生育時期になります。
適度な水分と光合成により一年で一番成長が進む時期になります。

ただし、強すぎる日差しや蒸れは苔にとって大敵。
長時間の蒸れは苔にとって乾燥や凍結よりもダメージが大きいです。

最悪の場合、黒く変色したり溶けたような状態となり、丈夫な苔でも死んでしまうこともあります。
一番の生育時期ですが、環境が合わない場合には苔にとって最も過酷な時期になることも。

秋 10~11月

苔の秋
秋には、受精した若い胞子体が造卵器の上で成長し始めます。
胞子はなるべく高いところからの散布が有利であるため、朔柄をどんどん伸ばしていきます。

この時期には朔柄の成長にエネルギーが使われるためか、苔のコロニー形成自体は少し緩やかになっていきます。
11月下旬頃には朔柄の形成は終了し、寒い冬が過ぎるのを待って朔の成熟が始まります。

苔には花も紅葉もないけれど

苔は小さくて、一見地味な植物かもしれません。

しかし、朔の美しさや面白さは他の植物では見られないもの。
また、苔の種類によってはその生育過程でまるで花が咲いたように見えるものもあります。

代表的なところで言えば、ウマスギゴケの雄花盤はまるで小さな花のようです↓
スギゴケの雄株

冬には赤茶色に変色したり、朔の色も多彩に変化する苔もあります。
小さくて見逃しやすい苔ですが、じっとその世界を見つめていると思わぬ発見が訪れます。

苔による四季の移ろいをぜひ、ご自身で感じてみませんか?

スポンサードリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました