苔を楽しむ方が増えてきていますね。
育ててみて、身近にある苔がこんなに不思議で面白いものだったなんて!と感動された方も少なくないと思います。
苔は本当に不思議で面白くて、奥が深い―。
適切な環境さえ用意してあげられればほとんど手をかけなくても自力で空気中の水分や栄養素を吸いとり、生きていくだけの力を持つ苔。
その反面、普通の種子植物が好む直射日光や肥料などを嫌い、時には腐ってしまうこともあります。
一体どう育てたら正解なの・・・?
そんな風にお悩みになったらぜひ手に取って頂きたい本があります。
いずれも型苦しいものではなく、リラックスして楽しめるものばかりです。
苔ブームに乗って、数々の苔本が販売されていますが、その中でも特に私がイチオシと感じている本をご紹介したいと思います。
マニュアルが欲しいけど、どれを選んだらいいのか分からないという方の参考になりましたら幸いです。
苔の種類を知りたいならコレ
「苔ボトル」育てる 楽しむ 癒しのコケ図鑑
写真/佐々木浩之 文/戸津健治
電波実験社
2015年8月1日初版発行
定価:1,500円+税
こちらは苔の種類を色々知りたい、自分で道端の苔の種類を見分けたいという方におすすめの一冊です。
第3章で紹介する「日本に自生する苔図鑑」では詳細で大きな写真付きで37種類の苔を紹介しています。
説明文は端的で短いものですが、写真が苔の特徴をよく捉えているため、苔の見分けには役立ちます。
また、「苔ボトル」というタイトルにあるように、苔テラリウムについてもご紹介しています。
いずれもとてもシンプルなものですが、土の選び方、ボトルに入れる順番などが詳しく手順写真付きで紹介されているため、これから苔テラリウムに挑戦してみたいという入門書になってくれると思います。
ただ、気になる点としては若干の誤字があります。
外山忍苔を「富山忍苔」と書いていたり・・・。
”コケにとってベストな環境は「渓流域」”と苔の種類を丸無視した見出しなどもう~ん・・・。
苔好きさん、トヤマシノブゴケ好きさん、または外山博士の努力を知る方にとっては、「え、この人って本当に苔に詳しいの?」と疑いたくなる部分も少なからずあります。
ですが、写真に関しては本当に素晴らしいです。
テラリウムの作り方もほぼ間違いないと思います。
ただ、メンテナンス部分については巻頭にまとめて書いてあるだけなので、苔の種類別で育て方を知りたいという方にはおすすめしません。
すすめているのか、そうじゃないのか分からない文章になってしまいました、すみません。
でも、写真は本当にいいですよ。
苔図鑑としても優秀です!
苔の生態をもっと詳しく知りたい!ならコレ
コケのふしぎ
著者:樋口正信
サイエンス・アイ新書
2013年6月25日 初版第1刷発行
定価:1,188円
国立科学博物館の植物研究部・陸上植物研究グループで植物系統分類学(コケ植物)の分野で活躍されている博士の著書。
とにかく苔の生態についてこれでもか!というくらいわかりやすく説明してくれています。
苔、という大きなひとくくりではなく苔の種類を明記した上でその特徴を記載しているため、種類ごとの生態系を完璧といかないまでも理解することができます。
どうやって苔は増えるのか?
どうやって栄養を取り込み、繁殖を続けるのか。
苔が死ぬってどういうことなのか。
苔を科学的に理解したい方にはぴったりの一冊です。
藻と苔が分別できないとお悩みなら、一度手にしてみるといいかもしれません。
苔+他の植物で楽しみたいのならコレ
苔のある生活
監修者:大島恵・木村日出資
日東書院
2013年3月20日初版第1刷発行
定価:1,620円
盆栽屋さんが書いた本だけに、盆栽テイストが強い趣向ですが、他の植物との寄せ植えで苔を楽しみたい方におすすめ。
盆栽といっても、苔盆なので苔に脇役感がありません。
器もシックで趣があるけれど、決して「古い」「骨董」などの雰囲気ではなく、世代を問わずおしゃれ感を感じることができると思います。
本書で紹介されている「苔テラリウム」は水槽を利用した大がかりなもの。
ここまでしなくても苔テラリウムは十分楽しむことができるので、「こういうのもあるんだな」と思っていただけるといいかと思います。
テラリウムにフィギュアを置きたいのならコレ
小さな緑の世界 テラリウムをつくろう
著者:ミシェル・インシアラーノ・ケイティ・マスロウ
草思社
2015年2月26日第1刷 発行
定価:2,300円+税
苔テラリウムにフィギュアを上手に配置してもっと面白くて独創的な世界観を作り上げたい―。
そんな風に考える方にぜひ手にとって頂きたい一冊。
ニューヨークのブルックリンで「トゥイッグ・テラリウム」という苔テラリウム専門の会社を経営する二人が出版したもの。
思わずうっとりしてしまったり、ぷっと吹き出しそうになったりと、そこにはもう別の世界が存在しているように感じます。
紹介しているデザインは斬新というよりはスタンダードなものかもしれませんが、そこから先の独創的な世界観はあなた次第というのが伝わります。
私はこの本が大好きです。
苔テラリウムを作りたくなると必ずこの本を開きます。
この本にある世界観をそのまま真似するのではなく、ここからヒントを得て、全然違うものを作るのが楽しいのです。
ちなみにここで使われている多くのフィギュアはドイツの老舗フィギュアメーカー「プライザー」のもの。
高品質で、ユーモアがあり私も愛用しています。
苔本のまとめ
いかがでしたでしょうか。
参考になる一冊がありましたら幸いです。
苔は身近で丈夫で育てやすい植物です。
なのに突如、とてもデリケートな一面をみせることもあります。
小さな物言わぬエイリアン。
私は苔をそんな風に考えたりもします。
そんなかわいくて不思議な苔との関係をさらに深めてくれる一冊が見つかることを願っています。
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