ゼニゴケほど嫌われ者の苔もそうないと思います。
それほどゼニゴケは「厄介者」のイメージが強い苔ですよね。
でも、実はゼニゴケには不思議な魅力が秘められています。
繁殖力が強く、何度剥がしてもすぐに復活してしまう強いゼニゴケ。今日はそんなゼニゴケの魅力と見分け方、そして楽しみ方をご紹介します。
どうしても駆除したい方に向けて、その方法も記事後半にまとめたもすよ…。
ゼニゴケを学術的に説明すると
ゼニゴケはゼニゴケ網ゼニゴケ亜網ゼニゴケ目ゼニゴケ科ゼニゴケ属ゼニゴケ。
まじりっけなしもす。
学名は「Marchantia polymorpha subsp.ruderalis」(マルカンティア ポリモルファ ルデラリス)。
長い・・・。
ゼニゴケ網は陸上植物の中で最も長い歴史を持つ分類群の一つと考えられています。
約4億8830万年前~約4億4370万年前の「オルドビス紀」の地層からゼニゴケに似た化石が見つかってるんだもすよ。
猿人が誕生したのが約400万年前だから、「人類の誕生→現代」を122回繰り替えすくらい昔からゼニゴケは存在したんだね。
オルドビス紀以降、デボン紀、ペルム紀、三畳紀、白亜紀と地球は大量絶滅を繰り返してきました。
そのうち、ペルム紀末今から約2億5100万年前には地球の歴史上最大の大量絶滅が起こり、海生生物は最大96%、全ての生物種で90%~95%が絶滅したと言われています。
ゼニゴケは誕生から4度もの大量絶滅を乗り越え、生き延びてきた苔なのです。
すごい…。
近似種としてフタバゼニゴケやミカヅキゼニゴケ、アズマゼニゴケ、トサノゼニゴケなどがあるが見分けは区別が難しい。
ゼニゴケの特徴
平たい葉状体(=葉と茎の区別がない)を広げ、折り重なるようにして地面に広がります。
葉は光沢がほとんどなく深い緑色。
特徴的なのは葉状体につけるカップ状の無性芽器。
この中にたくさんの無性芽が作られ、雨などの水がカップから溢れるのとともに散らばり、クローンとして繁殖します。
また、ゼニゴケは雄株と雌株があり、受精により胞子を作る方法でも繁殖します。
この2種類の繁殖は通年活発に行われているため、少しでも無性芽や胞子が残ると再びゼニゴケが増えてしまうのです。
苔なら無性芽と胞子の2パターンで繁殖するタイプはたくさんいるけど、ゼニゴケは適した環境だとその繁殖活動が他の苔と比べてもとても活発になるんだもすよ。
ゼニゴケの分布
ゼニゴケは北半球を中心に世界全土で見られます。
ゼニゴケが自生する場所
ゼニゴケは自然豊かな山奥などにはあまり存在しません。
低地で半日蔭、phが4.5~7.0%の酸性土壌で栄養が豊富な土上を好むため畑や日の当たらない裏庭、花壇などによくみられます。
焚火の後にも広がりやすいそうです。
土から栄養を吸収するわけでもないのに、不思議もすよ。。
人に嫌われながらも常に人のそばに繁殖を続ける、不屈の苔、それが「ゼニゴケ」なのです。
採取方法
自宅庭にゼニゴケができた人に相談したら快く採取OKをもらえそうです。
ゼニゴケは葉状体の裏面から仮根をたくさん出して地面にへばりついています。比較的強い力で張り付いているため、持ち上げるだけでは葉状体が傷ついてしまうことも。
ゼニゴケの仮根は特殊で吸水することができるもすよ。
平鍬で剥がすか、その下の土ごと剥がして、あとから水につけて土を落とすとキレイなマット状に採取できます。
ゼニゴケの育て方
【屋外で育てる場合】
ゼニゴケは環境があえば、早い増殖スピードでどんどん増えていきます。
裏庭などに安易に持ち込むと除去したい際に苦戦することになるため、ゼニゴケを屋外で育てる場合にはよく考えてからにしましょう。
半日蔭で湿った酸性の土壌にゼニゴケをマット状でおくか、粉砕して撒くと雨の度に増殖していくのが実感できると思います。
屋内で育てる場合
乾燥は苦手なので密閉容器がおすすめです。
赤玉土7:川砂3の基本的な苔の土にピートモスなどの酸性土を1の割合でプラスします。
たっぷり水分を含ませた用土にゼニゴケを置き、直射日光が当たらない場所、室内中央等にボトルを設置します。
高温多湿による蒸れが苦手なので、暑い日には容器のフタをあけて換気してあげるのがおすすめです。
ゼニゴケは水中化できる?
埼玉幸手のジョイフル本田のアクアコーナーにゼニゴケを水中化させたものが売っていた。店員さんとあーだこーだ5分くらいこのゼニゴケについて話込んでしまった・・・
ちなみに見た目はワカメ。SP付いてたし本当にゼニゴケなんだろうか・・・#ゼニゴケ #ジョイフル本田— SnkLab (@ChannelSnkLab) December 30, 2019
ワカメsp. いつの間にか地味に増えてる(笑)
※自分では活着させた覚えのないゼニゴケの水中葉 pic.twitter.com/Fbx5bcXRaa
— ちゅな🐠うつと暮らす (@Tr_chuna) July 8, 2019
ゼニゴケは水中化できるようです。
失敗された方もいましたが、成功すると葉がわかめのようなんだとか!
管理人が独断と偏見で選ぶゼニゴケの最もおすすめの楽しみ方
3年目のゼニゴケは、霧吹き後はテラリウムの中で美しく輝いて楽しませてくれる。#ゼニゴケ #moss #コケ pic.twitter.com/fKIitnvJGB
— Mosslight-LED (@mosslight1955) August 16, 2017
おすすめは「苔テラリウム」です!
ゼニゴケは屋外だと恐ろしく広がってしまいますし、アクアリウムで前景に使っても増えすぎて大変という話を聞きました。
でもテラリウムであればボトルの中でしか繁殖しません。
そして、小さなガラスの中で繁殖するゼニゴケは小さな葉をつけあまり大きくならずずっとミニチュアのまま。
色も屋外で見るよりも黄緑に近くなりました。
霧吹きで水をかけると艶めく葉は鑑賞用にピッタリです!
でもやっぱり・・・庭のゼニゴケを駆除したいなら
人間の誕生よりもずっと前にすでにこの地球にいたゼニゴケ先輩。
尊い・・・とあがめつつもやはり庭にはびこるのは我慢できない!ですよね。
そんな方に向けてゼニゴケの駆除方法をまとめます。
1.剥がす
まずはゼニゴケを剥がしてください。
ゼニゴケは剥がしても無性芽や胞子をまき散らしているので意味がないとも言われますが、繁殖活動が活発なゼニゴケがこれ以上胞子や無性芽をまき散らす前にまずは取り除きましょう。
この時、ゼニゴケだけではなくその下の土も一緒に剥がしてビニール袋などに入れて密閉しておきます。
2.消石灰を撒く
消石灰を撒くことで土壌が酸性からアルカリ性に傾きます。
ゼニゴケが繁殖しにくい土壌にしてしまいます。
消石灰を撒く際はマスクや長袖、手袋、メガネを着用してください。また庭にある他の植物への影響もあるため、注意が必要です。
3.雨が降った後はこまめにチェック
雨は酸性~弱酸性なので、降る度に土壌の酸性度を高めてしまう恐れがあります。
雨が降った後、生き延びたゼニゴケの胞子や無性芽が芽吹く可能性があります。
こまめにチェックし、芽をみつけたら早めに除去しましょう。
まとめ
ゼニゴケは人間が生まれるはるか昔から存在した陸上植物の中でも最も長い歴史を持つ分類群の一つです。
繁殖力の高さ、環境適応能力、そして嫌われても嫌われても自分の好きな場所からは頑なにどこうとしない強い信念すら感じさせてくれる苔です。
繊細で美しい苔の中で、平たくのっぺりとしたその姿は確かに目を引くものではないかもしれません。
しかしゼニゴケの不思議で謎めいた生体はどこか惹きつけるものがあります。
気持ち悪いから、と毛嫌いせず一度苔テラリウムで育ててみてはいかがでしょう。
ゼニゴケを見る目が180度変わってしまうかもしれませんよ!
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