苔テラリウム。
湿気と太陽の光があれば、冬でも鮮やかな緑色で私たちの目を楽しませてくれる存在―。
庭植えの苔は雪に埋もれても、家の中に置いておけば、いつまでも美しい緑でいてくれる・・・。
のはずですが。
苔は家の中で育てる場合、容器選びによってその手間が大きく異なります。
一体どんな容器を選んだらいいのか。
容器ごとのメリットデメリットをまとめます。
蓋付きガラス容器
苔テラリウムと言えば、この「蓋付きガラス容器」が最もポピュラーだと思います。
森や芝生をイメージしてボトルの中に作られるテラリウムはまさに小さな森。
とはいえ、他にも透明で扱いやすい容器ってたくさんありますよね。
なのになぜ苔テラリウムに蓋付きガラスの容器が多用されるのでしょうか。
蓋付きガラス容器のメリット
お手入れが簡単
蓋付きのガラス容器は一定の湿度を維持できます。
ボトル内では苔や土が水分を蒸散させ、それをまた土と苔が吸収します。
この循環がボトル内で起こることで、2週間~4週間も水分を与えずとも苔は元気に生育することができるのです。
さらに経験上、プラスチック容器はとても結露しやすかったです。
素材による熱伝導の差だと思いますが、その点ガラスの容器は外気と内部の温度差が起こりにくく、結露が発生しにくくなります。
透明度が高くテラリウム向き
ガラスの種類にもよりますが、プラスチックと比べると透明度が高く、鑑賞に向いています。
インテリア性が高い
プラスチックでもおしゃれな容器はありますが、多くの場合ガラス容器の方がインテリア性が高くスマートな雰囲気に仕上がります。(個人的な感想かもしれませんが^^;)
蓋付きガラス容器のデメリット
苔を触れない
オープンな容器と違い、蓋付きガラス容器の場合は、基本的には苔を触るのには向かないと思います。
苔の柔らかな手触りを楽しみたい方には向かないかもしれません。
苔の臭いを楽しめない
苔の多くはほんのりと土の香りがあります。
ジャゴケだと、なんとマツタケや松脂のような香りを楽しむことができます。
オープンな容器に入れておけば、ふと顔を近づけた際にその香りを楽しむことができますが、蓋付きの容器だとわざわざ蓋を開けて、くんくんと臭いを嗅がない限り分かりません。
破損の恐れがある
ガラスという性質上、仕方のない部分ではあります。
苔テラリウムはピンセットを使って精巧に作ることが多いですが、うっかり落としてしまうとせっかくの精巧な苔テラリウムが一瞬にして損なわれてしまうことに。
蓋なしオープンな容器のメリット
それでは次に「蓋なしのオープンな容器」のメリットについてまとめます。
蓋なしのオープンな容器というのは、鉢やお皿、ガラス容器であっても口の口径が広いものなどを指します。
苔に触れる、嗅ぐことでより身近に感じられる
オープンな容器であればいつでも触れ、臭いを嗅ぐことができます。
蓋付きのガラス容器に入れてる時よりも、ずっと苔の小さな変化に気が付くことができるでしょう。
苔の成長を早めることができる
これまで苔を生育してきた経験上、苔はガラス容器に入れて生育する場合に比べ、オープンな容器で生育させた方が成長が早まります。
ほふく性のある苔は容器を超えてさらにほふくする姿を見せる場合も。
また、屋外の場合には無性芽が容器外に飛び、容器の周りにも苔が生えてくることもあります。
「苔むす感」を体感できるのはやはりオープンな容器や苔庭ならではですね。
蓋なしオープンな容器のデメリット
お手入れがやや大変
空気が乾燥していると多くの苔は葉が丸く縮れせっかくの美しい葉の色も茶色く変色したり、ツヤが失われてしまったりします。
庭苔であれば、それも自然の姿として受け止め、雨を待つことができるかもしれませんが、家の中での鑑賞用の場合、できるだけキレイな状態をキープしたいと思います。
この場合には、毎日たっぷりと葉と土台を湿られてあげる必要があるのです。
根から水分を吸いあげる種子植物と違い、苔の場合には土台だけ湿っていても、葉が縮れてしまうことがあります。
葉にも土台にもたっぷりと水分を上げる必要があります。
乾燥シーズンや暖房、エアコンなどを使う場合には一日に何度も霧吹きで水をかけてあげることもしばしばです。
(寒い場所に置くと葉の乾燥を遅らせることができます)
オープン容器で2~3日水を水をあげなかったタマゴケ(´・ω・`)↓
窓辺に1週間置いたカモジゴケ(´・ω・`)↓
以上のことから、我が家の苔テラリウムのほとんどは蓋付きガラス容器で育てられています。
これなら、他の植物よりもずっと手が掛からずにその緑と成長を楽しむことができます。
ガラスなら何でもいいの?ガラス容器の選ぶコツ
苔テラリウムを始める際に、「どんなガラス容器にしたらいいか?」というご質問を良く頂きます。
ここでは苔テラリウムに向いているガラス容器・向いていないガラス容器についてまとめます。
無色透明がベスト
ガラス容器と言っても、透明度や着色の有無によって、向き不向きがあります。
茶色い遮光瓶の場合には、光を通さず苔は成長できません。
さらにせっかくの苔の緑が眺められないのも残念です。
ガラス容器は無色透明を基本とし、色がついていたとしてもわずかに水色程度のものを選ぶといいです。
口径がある程度広いものが作りやすい
苔にとっては口径が狭い方が、例え蓋を開けている場合でも内部の湿度が維持されやすく生育環境に向いていると言えます。
しかし、口径の狭いボトルでは、苔テラリウムを作るのも、メンテナンスする場合にも難易度が上がります。
専用の細いピンセットやハサミの用意が必要です。
苔テラリウムのビギナーさんなら、まずはある程度口径の広いものを選ぶとよいでしょう。
目安としては、口径が最低4㎝あると作業がしやすいです。
薄いガラスの方が結露しにくい
牛乳瓶のように厚みのあるガラスは外気と内部の温度差が生じやすく結露ができやすくなります。
そのため、できるだけ厚みの薄いガラスを選ぶようにするといいでしょう。
デザイン上、厚手のガラスを選ぶ際には結露を防止するために、
・寒い時期には暖かい室内の中央に設置する
・水やりの回数を減らす
などして様子をみてください。
苔テラリウム容器のまとめ
いかがでしたでしょうか。
苔テラリウムはある程度のルールさえ守ればほとんどお手入れ要らずでいつまでも美しい葉を見せてくれます。
季節によっては朔を付けたり、胞子を飛ばしたりと「苔ならではの季節感」を楽しむことができるのも魅力です。
どんな容器でそれを楽しむのかを考えるのもまた楽しみの一つ。
私は100均の容器もよく使いますし、リサイクルガラスで苔テラリウムを楽しむのも大好きです。
テラリウム=テラリウム容器という概念を捨て、自分だけのオリジナル苔テラリウムを楽しんでみてはいかがでしょう。
丈夫でタフな苔だからこそ、自由にその世界観を楽しんでみてください!
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