葉の先端が少しだけ立ち上がり、折り重なるように広がる姿はまるでクローバー畑を思わせるほど乙女的かわいさを持つのが「ホソバミズゼニゴケ」。
水気の多い場所に鮮やかなモスグリーン、ツヤツヤした厚みのある葉で、比較的大きな群落を作るので見つけやすいです。
特にわかりやすくなるのが晩秋~冬にかけて。
葉先が細かく避けて黄緑色のフリルのような無性芽をたくさんつけるんです♡
湿地帯や湧水のある場所でよく見かけるこのホソバミズゼニゴケについてまとめました。
ホソバミズゼニゴケを学術的に説明すると
学名はApopellia endiviifolia。
Pellia endiviifoliaに分類されていましたが、2016年に学名が変更になりました。
ゼニゴケ植物門ミズゼニゴケ亜綱ミズゼニゴケ目ミズゼニゴケ科ホソバミズゼニゴケ属(←2016年新設!)ホソバミズゼニゴケに分類されます。
ゼニゴケに比べると葉に透き通るような透明感があります。
ゼニゴケはジメジメした場所に、ホソバミズゼニゴケは水が流れるような場所だったり、半分水に浸かってたりするような場所がすき。
ウスバゼニゴケやシャクシゴケにも似ています。
ホソバミズゼニゴケが分布する場所
日本全土で見られます。
世界的には北半球の広い地域で目にすることができます。
ミズゼニゴケにはいくつか近似種があり、高地で目にする「エゾミズゼニゴケ」、ブナ帯の湿岩上に生育する「ミヤマミズゼニゴケ」などがあります。
ホソバミズゼニゴケはそっくりさんがたくさん。
スジゴケ科に分類されるミドリゼニゴケやミズゼニゴケモドキは生育環境も似ていることがあり、パッと見で同定が難しいこともあります。
自生する環境
ホソバミズゼニゴケは湿った土の上、水が薄く流れるような岩上、湧水地など、水辺を好んで生育します。
半分水に浸かったような場所でも元気に生育し、活着も容易なため、アクアリウムに用いられることもあります。
成長が早く、適した環境だと大群落を形成することもあります。
日陰~半日陰で良く育ちますが、水分さえ十分にあれば日当たりの良い場所でも自生します。
水中で育つものは木や岸壁に活着し小群落を作る姿が見られます。
陸地では丸みを帯びた葉の形ですが、水中では細長く変形することも。
陸地で生育してると時々赤紫色になることがあるよ。だから「ムラサキミズゼニゴケ」という別称もあるんだもす。
見た目の特徴は?
重なるようにして広がる半透明の葉が特徴的。
葉状体の先端だけが持ち上がりウロコっぽくも見えます。
雌雄異株。
晩秋~冬(時には春先)になると葉先が割れて無性芽をたくさんつけます。
この特徴によりホソバミズゼニゴケと分かりやすくなります。
個人的にはカエルの手に見えます…。
出典:そよ風の中でPart2-無性芽をつけたホソバミズゼニゴケ
2~3月になるといっせいに蒴柄を伸ばします。
蒴柄は3~6cmと長く、見た目には「細いもやし」になります。
そして蒴柄の先端には丸い蒴をつけます↓
出典:進化する植物図鑑:コケ植物
蒴は茶色っぽくてまんまる。
蒴と蒴柄だけ見ると本当にもやしそっくりです。。
蒴が裂けて胞子が出た後は白い毛のようなものが残ります。
採取方法
水中に活着している場合は活着している木や石ごと採取すると傷みにくいです。
マットを形成している場合には硬いプラシートのようなものではがすとキレイに採取できます。
採取直後に乾燥させないよう、できるだけ湿った状態を維持します。
ホソバミズゼニゴケの育て方
直射日光と乾燥を避け、ムレないようにフタのないボトルに入れて育てるのがおすすめ。
水分は多めにし、葉の裏が水に浸るくらいの水分を与えると元気に育つことが多いです。
水中化で育てる場合、弱い光量でも構いません。
石や流木に細いテグスで巻き付けて、水槽内に沈め活着を待ちます。
傷んだ葉は茶色く変色してくるので、必要に応じてトリミングしてください。
葉がツヤツヤしていて、濃い緑色であるのが状態のよいホソバミズゼニゴケです。
ツヤがない、葉の先端が茶色く縮れてきた場合は環境が適していない可能性があります。
ホソバミズゼニゴケの増やし方
ホソバミズゼニゴケは無性芽と胞子によって増えます。
無性芽は晩秋~冬にかけてにかけて急速に成長していきます。
また雌雄異株であるため、受精後、2~3月に蒴柄を伸ばし、胞子を撒くことでも増えます。
成長の早い苔であるため、湿潤環境を維持するだけで十分に増えることが可能です。
適切な環境に移植するとあとは育つのを待つのみです。
広範囲に広げたい場合には撒きゴケをする方法もあります。
撒きゴケの増やし方は、用土の上に撒き、たっぷりと水分を与えます。
新芽が出るまでの間は毎日たっぷりと散水するようにしてください。
ただし、ホソバミズゼニゴケはかわいいけど、苔庭用としては不向きでもあります。
タイ類を庭に増やすとヌルヌルして歩きにくかったり、見た目にもイマイチなんだもす。。。
ホソバミズゼニゴケの水中化のコツ
アクアリウムなどでも使われるホソバミズゼニゴケ。
完全に水中化してもトラブルを起こしにくく、石や流木への活着も比較的スムーズです。
葉が折り重なるようにして成長するため、シュリンプの隠れ家としての利用が多いようです。
この水槽のホソバミズゼニゴケはマツモに光を遮られているせいでヒョロヒョロになっていて状態は最悪ですよw 本来の姿はもっと太葉で魚のウロコみたいにモコモコした感じになります。 pic.twitter.com/PD731wSaZ6
— MARSH🐟 (@rhinogobius_to) October 11, 2017
ホソバミズゼニゴケはとても美しい pic.twitter.com/DfOgg0pjuC
— おまめ アクアリウム垢 (@OmameWorld_Aqua) August 18, 2015
二酸化炭素の添加をしなくても十分に育つそう。
※あまりたくさんの二酸化炭素を添加すると、藻が増えやすくなるので注意してください。
管理人が偏見と独断で選ぶ、ホソバミズゼニゴケの最もオススメの利用法は
出典:ほっこり安曇野屋
やったことないけど…Twitterで見る限り「アクアリウム」が一番キレイだと思いました。
鮮やかな緑やツヤ感はとても素敵なんですが、テラリウムとしてボトルに閉じ込めてしまう場合は管理が難しくなる可能性があります。
ホソバミズゼニゴケのボトルいっぱいに水を入れてたらガラス面に藻が大発生、美しかったホソバミズゼニゴケ自体に藻が絡みついてグロテスクな状態にしてしまったことがあります…😢
アクアリウムの場合は水の入れっぱなしではなく浄化と対流があります。必要に応じて二酸化炭素を添加したり、光量の調整もできるのできれいな状態のホソバミズゼニゴケが維持できると思うんです。
水中で透明感のある葉を広げる姿はものすごくキレイ✨
いつか大きなテラリウム用の水槽が用意できたら、水中部分にホソバミズゼニゴケのコロニーをたくさん配置してみたいと思っています。
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