ビロードのような山苔「ホソバオキナゴケ」の採取と育て方・増やし方

苔図鑑

苔には様々な種類があります。
世界には約2万種以上、日本国内には2,000種類の苔があると言われています。

その中でも際立って美しく、触り心地はまるでビロードのような苔に「山苔」があります。
さらに山苔の中でも比較的採取しやすく、また育てやすいのが「ホソバオキナゴケ」です。

こんもりとしたコロニーを形成するホソバオキナゴケはまさに苔らしい苔。
テラリウムに入れるとその美しいビロード感をぐっと間近に感じることができる存在感のある苔です。

ホソバオキナゴケを学術的に説明すると

生態分類はシラガゴケ科シラガゴケ属ホソバオキナゴケ。
学名はLeucobryum neilgherrense C.Muell。

分布する場所

日本国内では北海道から九州、小笠原諸島です。
海外では朝鮮~中国などの東南アジアに多くみられます。

生育環境

ホソバオキナゴケの生育環境

強い日差しを嫌う性質があります。
安定して湿度が供給されるような半日陰の地で、木の根元や森林の中の腐った木の上などに自生します。

適度な湿度は必須ですが、雨が直接当たるような場所は好みません。

また暑さを嫌い、涼しい環境を好みます。
潮風が通るような海沿いには自生しません。

採取方法

ホソバオキナゴケの採取方法

ホソバオキナゴケはコロニーを形成するため、半円球の状態で簡単に採取することができます。

比較的厚みのある状態を形成するため、持ち上げるだけでも採取できるが、キレイに採取するにはヘラのようなものを根本に差し込んで持ち上げるとキレイに採取できます。

【注意】苔の違法採取はしないように注意しましょう。
苔の採取は必ず地権者の許可を取った上で行ってください。

栽培方法

ホソバオキナゴケの栽培方法

京都でよく見られる「苔庭」づくりの主要な苔であるように、庭園材として古くから活用されています。
また、盆栽の脇役として、木の根元などに張られることも多いです。

そのビロードのような美しさから、最近ではテラリウムにもよく活用されます。

育て方・増やし方

ホソバオキナゴケの育て方

ホソバオキナゴケの育て方

春から秋にかけては半日蔭での生育がおすすめ。
夏の暑さには弱いため、夏場はなるべく直射日光が当たらないように注意します。

水やりは少し乾かし気味に行うのがベスト。
乾燥が行き過ぎると、葉が褐色になるものの、再び水を与えると復活することが多いです。

植え付け初期には、環境に馴染めず変色を起こすことがあるものの、その後生育環境を注意して経過を見ているうちに復活することも多いです。

土はケト土:赤玉土が7:3程度、またはピートモス:赤玉土:樹皮培養土などを2:2:6でもOKです。

樹皮培養土単独でも育てることができますが、最初の定着に時間がかかってしまうと茶色く変色してしまう場合もあるので、目土を入れるなどの工夫が必要です。

植えつけたら最初は定期的に水やりを行い、少しずつ減らしていきます。

環境に馴染むと新芽が出るスピードは早め。
ただし、コロニー形成には時間がかかります。

ホソバオキナゴケの増やし方

ホソバオキナゴケは林の中ではよく木の根元などに丸くコロニーをつくっている姿をみかけます。

よく見る苔の1種ですが、人工的に増やそうと思った場合、「増やす環境」によってはうまく育たないケースも多いです。

ホソバオキナゴケの繁殖方法としては移植法が向いています。
元々ホソバオキナゴケ自体が繁殖が遅いため、乾燥→粉砕した上で苔の種として撒く「撒きゴケ法」だと環境が合っている場合でもコロニーを形成するまで3年以上必要になります。

それに引き換え、移植法は撒きゴケに比べると比較的早くコロニーの形成が進みます。

やり方はホソバオキナゴケを2~3㎝の塊に小分けにしていきます。
これを柔らかく空気を含みやすい用土に置いていきます。

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おすすめはピートモスと赤玉土、樹皮を細かく砕いた樹皮培養土などを2:2:6で混ぜた軽い土です。
(私自身はピートモスと赤玉土の1:1でもホソバオキナゴケの繁殖に成功していますが、一般的には樹皮培養土を混ぜるのがよいようです)

小分けにしたホソバオキナゴケを用土の上に10cm程度の間隔をあけて、ピンセットで差し込んでいきます。
ぐらぐらしなければ目土は不要です。

ただし、浮いてしまうようならピートモス:川砂=1:1のシンプルな目土を苔の周りに丁寧に入れて、動かないように固定します。

ホソバオキナゴケの土は軽くて、ふわっと柔らかいものにすると定着しやすいです。
元々が樹皮で良く生育する性質なのでつい硬い樹皮の上に置きたくなりますが、定着しないと変色し、新芽が出てきません。

細かく砕いた樹皮培養土なら相性がいいです。

移植をしてからはなるべく木漏れ日が当たる程度の日陰(半日陰)で、植え付けから1ヵ月は様子を見ながら毎日水を与えます。
元々はやや乾燥を好む苔なので、少しずつ水やりの回数を減らしていきます。

土の上にしっかりと定着したら、あとは土が乾いたり、苔が白っぽくなった時に水を与える程度で大丈夫です。
直射日光を避けること、極度の乾燥を避けることで安定して成長し始めます。

他にもある?山苔の種類

ホソバオキナゴケの他にも山苔には種類があります。

有名なのは「アラハシラガゴケ」。

最近では入手が難しくなってきたホソバオキナゴケの代わりとして、「アラハシラガゴケ」が山苔として園芸店に並ぶことが多くなりました。

ホソバオキナゴケとアラハシラガゴケの違い

ホソバオキナゴケとアラハシラガゴケの違い

ホソバオキナゴケとよく似ていますが、アハラシラガゴケの方が葉が長く、葉先が少し縮れて不揃いです。

山苔の種類には他に「オオシラガゴケ」というものもありますが、どちらかというとアクアリウムに使われる大振りな山苔です。
オオシラガゴケ
出典:http://blogs.yahoo.co.jp/yosiwarasyougun/26781387.html

管理人が偏見と独断で選ぶ、ホソバオキナゴケの最もオススメの利用法は

ホソバシラガゴケにおすすめのテラリウム
出典:http://blog.livedoor.jp/kana_hsmt/archives/439734.html

ズバリ、「テラリウム」です!
こんもりとした半円球はまるで丘。
小さなジオラマフィギュアと一緒にボトルに入れれば、小さくてのどかな世界観が演出できます。

ホソバオキナゴケは乾かし目にしていると、葉が白っぽく変色してきます。
(これがシラガゴケと呼ばれる由縁)

これもまたいぶし銀を思わせる美しい苔色なのですが、水を与えること鮮やかな深緑色へと変化。
この変化を身近で楽しむことができるのも、ホソバオキナゴケをテラリウムで楽しむ魅力の一つです。

ホソバオキナゴケをテラリウムで楽しむ場合には湿気を逃がさない「蓋つき」の容器が向いています。
週に2回程度、蓋を開けて息を吹きかけてあげると、必要な二酸化炭素を供給することができます。

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