アスファルトの隙間、歩道の片隅にひっそりと生える苔。
その多くは「ギンゴケ」と呼ばれる苔です。
苔の中でも繁殖力、耐久性はピカイチ。
どんな過酷な環境でもじっと耐えてその命を繋ぎます。
なんと、南極大陸にもギンゴケは存在します。
時にはゴミや埃にまみれて、そこに苔があるかどうかも分からない状態になっていることも。
それでもギンゴケはその命を絶やすことなく生き続けます。
そんな我慢強さ、辛抱強さは時に私達人間が見習わなくてはならないと思わせてくれるほど。
地味だけどよく見るととても美しいギンゴケ。
その不思議な生態を詳しくまとめます。

ギンゴケは別名アーバンモスって言われてるんだもす。

おお、おしゃれ!都会でもよく見かけるからだね!
ギンゴケを学術的に説明すると
生態分類はハリガネゴケ科ハリガネゴケ属ギンゴケ種となります。
和名はカサゴケ科とされることもあります。
特徴
モスグリーンと言えるほど深い緑ではなく、どちらかというと白みがかった色味。
松ぼっくりのように葉が重なっているのが特徴です。
葉の半分から上に葉緑体が存在しないため、葉先が白く見えます。
同じようにコンクリートの間や道路脇などに生育する苔にホソウリゴケがあり、こちらはよくギンゴケと間違えられますが、ホソウリゴケは乾燥してもギンゴケほど白くならず、また葉も茎もギンゴケより細く華奢です。
分布する場所
世界中どこでもです。
主に温帯気候を好む傾向はありますが、寒くても乾燥する場所でも生存可能です。
最も寒い場所では南極大陸でもその存在が確認されています。
生育場所
都会のアスファルト、山間部の石灰質の土壌など場所を選ばずに生育します。
日光を好む性質があるため、育てるのであれば日向が向いています。
採取方法
都会であればアスファルトの隙間などにコロニー化した状態で繁殖しています。
他の苔が混じった状態で生育することもしばしばみられます。
採取はスコップなどで土ごと採取するのが形が崩れずおすすめです。
アスファルトで採取したものは、虫たちのオアシスとなっている場合が多く、卵や幼虫などがくっついている場合があります。
水性の殺虫剤を吹きかけておくか、発泡スチロールに1週間ほど保管して、虫が全て這い出したところで使用することをおすすめします。
育て方
どこでも育つ丈夫な苔ではありますが、暖かで日当たりのよい場所が好みです。
蒸れは苦手なので、夏場の水やりは涼しい時間帯に与えます。
乾燥に強く、頻回に水を与える必要はありません。
また乾燥しても色味が変化することは稀です。
用土は比較的どんなものでも問題ないですが、消石灰を少量混ぜると安定して生育することが多いです。
増やし方
貼り苔が簡単です。
比較的どこでも採取できるので、採取後に虫の卵や幼虫などを取り除き(上記「採取方法」内参照)、日当たりのよい場所に張り付けます。
蒔き苔でも、増殖は早めです。
消石灰を混ぜた用土に直接粉々にしたギンゴケを混ぜ合わせて繁殖させたい場所に蒔くだけでOKです。
管理人が偏見と独断で選ぶ、ギンゴケの最もおすすめの利用法は
苔テラリウム、または多肉植物の下草に使うとキレイです。
苔テラリウムの場合は蓋なしで蒸れないように管理することをおすすめします。
多肉はあまり水分を多く与える必要がない植物。
苔の中でも乾燥に強いギンゴケは多肉植物との寄せ植えに最も適した苔だと言えます。
苔玉に適している?
ギンゴケはあまり大きなマットを形成せず、直立型の形状であるため苔玉には不向きです。
また苔玉に使われる用土は粘土質で水はけがイマイチ。
乾燥を好むギンゴケには向かないと言えます。
まとめ
とにかく丈夫なギンゴケ。とはいえ蒸れや多湿には苦手という一面もあります。
タフでありながら、その美しさは繊細。
折り重なるように生えた葉は太陽の光を浴びて、その名の由来通り「銀色」に輝きます。
その様は目を奪われるほど美しいものです。
ぜひ道端でギンゴケと出会ったらその素晴らしさを実感してみてください。
コメント