イトゴケってふだんの生活の中ではあまり見ない苔だと思います。
細長くて糸、というよりはモヘアの毛糸みたいなかわいい苔「イトゴケ」。
今回はそんなイトゴケの魅力をお伝え出来たらと思っています。
イトゴケを学術的に説明すると
イトゴケ属ハイヒモゴケ科イヌマゴケ目。
学名はBarbella pendulla。
近似種にキヨスミイトゴケがあります。この2つは肉眼では見分けができません。
イトゴケとキヨスミイトゴケを見分ける方法
私がよく参考にさせて頂いている「そよ風の中でPart2」の中では以下のように書かれていました。
イトゴケの細胞では、上の写真のように、2~4個のパピラが一列に並びます。
イトゴケと同じ属のキヨスミイトゴケは、肉眼的にはほとんどイトゴケと区別できませんが、細胞の中央に1個のパピラがあるだけです。出典:そよ風の中でPart2
パピラとは細胞の表面にできた乳頭上の突起のこと。
肉眼では見えないので、イトゴケとキヨスミイトゴケの分類には顕微鏡が必要になりそうです。
余談ですが、「そよ風の中で」をご執筆しているのは左木山祝一先生。岡山コケの会、大阪自然史センター監事、堺植物同好会役員をされている方で、苔への造詣がとても深いです。
わからない苔があったら左木山先生のそよ風の中でシリーズ、おすすめもすよ。
イトゴケの特徴
一次茎と二次茎に分かれていて、一次茎は基物を這うように伸び、2次茎はヒモ状に垂れ下がります。
多くが沢沿いなどの空中湿度が高い場所に生育します。
蒴がつくことはほとんどありません。
二次茎は不規則に分枝し、枝の長さは10cm以上になることも。葉は茎にも枝にもたくさんついて葉の上側は針のように細く尖ります。
全体的に柔らかな光沢があります。
キヨスミイトゴケの方がイトゴケよりも少し太い場合が多いようです。
イトゴケの分布
中部より西~九州で確認されています。
それ以外では小笠原諸島、中国、アジアでも生育しています。
キヨスミイトゴケは本州全土で見られるようです。
イトゴケの生育場所
自然界でイトゴケが生育する場所は主に手が届かない高い木の枝など。
沢の岸壁に生えた木の枝や幹などでよく見かけます。
岩上などでも見つかるようですが、稀です。時々つつじなどの低木にもイトゴケが這っているのを見ることもあります。
土上では見かけることはありません。
空中湿度が高く、半日蔭~日陰のような場所に生育しています。
採取方法
木の枝や幹に絡まるようにくっついているため、そっと持ち上げるようにして剥がしていきます。
茎葉が細く途中でちぎれてしまうことも。
注意深く少しずつ剥がすように採取します。
採れないからといって枝を切るのは止めようもすね。
イトゴケの育て方
※筆者経験談とSNSからの情報になります。
イトゴケは空中湿度が高い場所が生育条件になります。
そのため、庭先の枝に絡めたりしてもなかなか定着しませんでした。
屋外でイトゴケの生育環境を用意するのは一般的な住宅地では難しそうです。
室内の場合は、密閉できるテラリウム容器で多湿気味に育てると長期生育が可能でした。
ただし、テラリウム内の蒸れには注意が必要です。
イトゴケは水中化できる?
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水中化した方はかなりモサモサと広がっていくとのことです。
もすこ自身は水中化は試したことがありません。今度試してみますね!
管理人が独断と偏見で選ぶイトゴケの最もおすすめの楽しみ方
人里離れるとこんな感じで
いくつも枝に大きくイトゴケが垂れ下がることがあるとてもエモい木
そしてこれが見れる場所はエモい林 pic.twitter.com/DMimDu9DQL— モスモス コケの森@CRYPTO-GAMAE (@mosmosgreen) August 21, 2019
おすすめは自然にあるイトゴケを愛でる!です。
イトゴケは人の住む低地に持ってきてしまうとうまく育ちません。また生育がゆっくりで蒴もほとんどつけないことから、和製エアプランツとも言われています。
そんな理由もあり、イトゴケは自然の中で自然の景観とともに楽しむのが一番ではないかと思います。
自然環境をそっくりそのまま作りこむ「ビバリウム」ならイトゴケをそだてられるかも。。
まとめ
素敵な苔を見つけるとついつい手元で育ててみたくなりますが、実は自然の中で愛でるからこそ美しい苔もあります。
イトゴケを見たらそこは空気がキレイな証拠です。
たっぷり良い空気を吸って、イトゴケを愛でて写真を撮って帰ってくるというのも苔の楽しみ方の一つだと思います。
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