タチ…タヒ…タヒチ…?
ついうっかり「タヒチ」と読んでしまいそうですが、「タチ・ヒダ・ゴケ」です。
今日はどこにでもある苔なのに、案外名前を覚えてもらえない苔「タチヒダゴケ」についてまとめたいと思います。
タヒ・・・?
タチヒダゴケを学術的に説明すると
マゴケ亜綱タチヒダゴケ目タチヒダゴケ科タチヒダゴケ属タチヒダゴケ。
学名は「Orthotrichum consobrium」。
タチヒダゴケは苔全体の95%を含むマゴケ亜綱に分類されます。
マゴケ亜綱は11500種類の苔が分類されてるもす。
タチヒダゴケの特徴
茎は基物に対して直立し、葉は1cmほど。主に日当たりのよい場所を好みますが、乾燥すると黒っぽくなるため苔だとと気づかれないこともしばしば。
幹上に丸い饅頭型のコロニーを形成するのを見かけます。
雌雄同株で一年を通してよく蒴をつけています。蒴は黄色~黄緑色と淡い色合いで釣鐘状。
蒴柄が短いので葉の間から卵がポコポコと顔を出しているみたいに見えてかわいいんです。
胞子を出し終えた蒴はオレンジ色のラッパ型になります。
雨に濡れると鮮やかな緑の葉を広げるのが魅力の一つです。
タチヒダゴケは別名「コダマゴケ」とも言われてるもすよ。
タチヒダゴケの分布
本州~九州で見ることができます。
海外では中国や朝鮮でも確認されているようです。
タチヒダゴケの生育場所
日当たりのよい街路樹の幹上にコロニーを形成することが多いです。
主に郊外~自然の多い場所でよく見られます。
都市部には少ないと言われていますが、少し緑の多いところに行くと桜の木なんかにポツポツ見かけますよ。
採取方法
樹上へ張り付く仮根は密ではないため、比較的簡単に採取することができます。
その他、落下した枯れ枝にコロニーを形成しているのを見かけることも。
枯れ枝ごとの採取であれば仮根を傷つけることなく採取できます。
生えている枝は折らないでもすね!
タチヒダゴケの育て方
屋外で育てる場合
樹上を好む苔なので、土上だとうまく育ちません。
採取したタチヒダゴケをよく日の当たる樹上に置き、テグスなどで軽く固定します。
最初の1~2ヶ月はこまめに水やりをします。
仮根が伸びて活着が確認できたらあとはお手入れの必要はありません。
ただし、過度に乾燥している場合には涼しい時間帯を選んで水やりをするのはおすすめです。
岩上にコロニーを形成することもあるので、岩上への活着を試してみてもいいかも!
室内で育てる場合
室内で育てる場合には樹皮ごとテラリウム容器に入れて育てるのがおすすめ。
乾燥に強いタチヒダゴケは多湿にしすぎると弱ってしまうため、オープン容器で育て、乾燥したら霧吹きで水をあげるとよいです。
ただし、水浸しにならないように注意しましょう。
元気がなくなってしまうよ。
乾燥してしまうと黒い緑色になってしまうので、樹皮培養土など保水性のある用土の上に活着している樹を立てかけるように置くと鮮やかな緑色を保ちやすいです。
空中湿度を上げるんだもす。
タチヒダゴケは水中化できる?
私が試したのは1度だけで失敗に終わっています…。
樹についたタチヒダゴケを水中に沈めると、数日~数週間は元気ですが、じわじわと変色し茶色くなりやがて溶けていきました。
光量や二酸化炭素の添加などにより成功するケースもあるかもしれません。
ただ、日当たりを好む苔で乾燥に強い苔は水中化はうまくいかないパターンが多いように思います。
タチヒダゴケの口コミ
低木に着生しているタチヒダゴケ。#嵐山 #京都 #bryophyte #タチヒダゴケ #苔 #コケ pic.twitter.com/IaFstdm9lk
— コケ娘 (@Koke_love83) December 22, 2018
タチヒダゴケ科の一種でしょうか。朝、コケティッシュな姿にふと目が留まり、持ち帰って葉の細胞を撮影してみると、葉緑体も丸っこくてまた可愛い。 pic.twitter.com/2GPLUwUECi
— ごうぎ しげる🔬 (@sgougi) October 3, 2018
タチヒダゴケ属,
大きい(ふつう)のと(まだ赤くないが)小さいの. pic.twitter.com/XGms480kYx— kochibi (@YuzzleKassai) January 16, 2020
タチヒダゴケ (立襞苔、学名:Orthotrichum consobrinum)
苔ブームきてます。
これはタチヒダゴケ。
公園の銀杏や桜の幹にびっしりと着いてますね。小さな玉のような蒴(さく、胞子嚢)が特徴的でコダマゴケ(小玉苔)とも。#武蔵国分寺公園 #タチヒダゴケ #コダマゴケ pic.twitter.com/obveMUUpYu
— 武蔵国分寺公園の生き物たち (@M_Kokubunji_P) October 17, 2018
どの子もかわいいもすね!
管理人が独断と偏見で選ぶタチヒダゴケの最もおすすめの楽しみ方
今日は苔も日なたぼっこさせよう。
2枚目のはタチヒダゴケ。
3枚目のは不明…りんさん、イタズラしないでね|ω・)#苔 #テラリウム #猫 #キジトラ pic.twitter.com/IDFgi6uBu3
— yo-kote-rin/ヨーコ (@yokoterin1) March 5, 2017
樹皮や岩上などに活着させて、高低差を出すテラリウムに使うのがおすすめです。
用土の上に苔を置くだけではなく、テラリウム内に高低差を作ると奥行きが生まれて世界観も広がります。
成長もゆっくりなので、活着後のトリミングもほとんど不要です。
屋外で楽しむ場合、乾燥してしまうとせっかくの美しい緑の葉も茎に沿って黒っぽくなってしまうので、いつでも青々とした葉を楽しみたい方は室内でテラリウムをおすすめします。
まとめ
お天気がよいと樹皮と同化するように黒くなり、雨が降った時はせっかく葉を広げても傘をさした人は木の上を眺めることはしません。
こうして誰の目にも止まることなくひっそりと樹上で育つタチヒダゴケ。
目立たない存在ですが、蒴をつけた時だけは少しだけ存在感がアップします。そんなタチヒダゴケをもし見つけたらじっくり観察してみてください。
小さな苔の中で蒴をつけ、胞子を飛ばす懸命な生存活動を知ることでなんとなく愛着を感じることができるかもしれません。
別名コダマゴケだからなのかもすだけど、蒴を見るとコダマが頭をよぎるもすよ・・・。
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