まるで羽根を広げた孔雀のように扇形に葉を広げる苔。
その名もクジャクゴケ。
繊細なたくさんの葉が折り重なるようにして作られる扇型のその草姿は、息をのむほど美しいです。
日の光を浴びるとやや黄色味を帯びて見えます。
薄暗い森や林の中でそこだけが明るく見えるから目立つんだもす。
クジャクゴケを学術的に説明すると
マゴケ綱マゴケ亜綱アブラゴケ目クジャクゴケ科クジャクゴケ属クジャクゴケ。
マゴケ綱はセン類の中でも最大の分類群。
10,000種以上もあると言われています。
マゴケの仲間は形状もかなり色々だけど、蒴歯の形が有関節蒴歯という計上で、内側と外側の2つの蒴歯を持つのが特徴。
クジャクゴケの胞子体の蒴歯も有関節なのが特徴です。
出典:コケのふしぎ(著:桶口正信)1-12セン類の特徴P49より
ちょっとしたエイリアンだよね。
こわいもすー。。
ちなみに胞子体がまだ帽子(朔帽)をかぶっている段階のクジャクゴケは孔雀そのもの!って感じがします。
クジャクゴケが分布する場所
クジャクゴケが分布する場所は日本全土で確認されています。
海外ですと、東アジアの一部で観察されています。
自生する環境
クジャクゴケが自生する環境はあまり光の当たらない日陰の湿地。
朽木の上や、湿地に落ちている石や、渓流沿いの岩肌にマット状で広がることも多いです。
適した環境になると成長スピードも速いですが、クジャクゴケが自生する場所はハイゴケやシノブゴケなども好む環境であるため、クジャクゴケ単体ではなく複数の苔がミックスした状態で見つかることが多いです。
見た目の特徴は?
クジャクゴケは同定(特定)が比較的容易です。
葉が他の苔と比較してやや鮮やかな緑色であること。
そして独特の扇型の形状が特徴です。
その形状が孔雀が羽根を広げた姿に似ているということが名前の由来です。
茎は2つに分かれていて、1次茎は地を這うようにして伸び、仮根をたくさんつけて地面や岩にくっつきます。
2次茎は立ち上がり、途中から分枝して広がります。
中肋は葉の先か、途中までで先の尖った卵型の葉を左右対称にたくさんつけています。
扇状に広がった葉の全長は3㎝程度。
これよりやや小ぶりなものとして、ヒメクジャクゴケがあります。
採取方法
採取する際には管理機関・地権者等の許可を得てから行ってください。
ムチゴケはほふくタイプなので、マット状で広がります。
天然のクジャクゴケは上記でも書いたように他の苔とミックスされた状態でみつかるため、クジャクゴケだけでの採取はやや難しいです。
採取する場合は他の苔と一緒に採取してから丁寧により分けるか、ミックスした状態で移植します。
採取時は朽木についている場合はそのまま採取し、後で丁寧に朽木だけを取り除きます。
仮根は多少切れてもその後の生育に影響はありません。
クジャクゴケの育て方
クジャクゴケを育てる場合、用土は比較的比較的水ハケのいい粒状培養土が適しています。
(肥料の入っていないものにしてください)
もし石の上にマット形成をしているものであれば、できれば剥がさずにそのまま育てると失敗しにくいです。
湿度さえ維持できれば見た目の繊細さとは違い、とても育てやすい苔です。
ただし、高湿度で光を遮りすぎると、苔が弱くなりカビが生えやすくなります。
苔テラリウム向きではありますが、定期的に空気を入れ替えたり、自生環境よりも少し多めに光に浴びさせる方がよく育ちます。
また、クジャクゴケは乾燥してくると葉を丸めるようにして身を小さくします。
これを見たらたっぷりと水分を与えるようにします。
クジャクゴケの増やし方
クジャクゴケを撒き苔法何度か試したことがありますが、新芽は未だ出た経験がありません。
無性芽があるので撒きゴケでいけると思ったのですが・・・
自生のクジャクゴケを増やす場合には、自生している環境を参考に先に環境づくりをします。
湿度、光の当たり具合、温度、用土など。
その上でクジャクゴケを移植すると比較的定着します。
屋外で育てる場合には、他の苔とのミックスになりがちなので、単独で育てたい場合は定期的に他の苔の新芽は抜くようにします。
室内で育てる苔テラリウムなら蓋付きの容器で部屋の真ん中に置くくらいの光量で十分に育ちます。
クジャクゴケは水中化できるの?
クジャクゴケの水中化はむずかしいようです。
アクアリウムに入れる場合は前景としての使用となります。
完全に水没させてしまうと次第に葉が細くなって溶けてしまったという方も。
光量や二酸化炭素の量などで、うまくいく可能性があるかもですが、失敗覚悟で探りながらという形になりそうです。
メダカさん(//∇//) 水の中は全部コケ植物。コウヤノマンネングサ、ヒノキゴケ、ホウオウゴケ、クジャクゴケ、クモノスゴケ、コツボゴケ。ウキゴケはなぜかメダカに食べられてしまったので、浮き草だけコケじゃないの。。。 pic.twitter.com/RNSgFHDT9a
— 道草 michikusa 1月25-26日博物バザール (@warannahito) March 5, 2017
管理人が偏見と独断で選ぶ、クジャクゴケの最もオススメの利用法は
見た目に鮮やかで豪華絢爛なクジャクゴケはなんといっても苔テラリウム向きです。
傾斜をつけた用土に張り付けるようにして設置すると見ごたえがあります。
朔をつける時期は孔雀そのもの。
3~4月には朔柄を伸ばして胞子体を作り始めます。
この時期が一番くじゃくっぽいんですっ!
ぜひ上手に育てて、朔柄を伸ばした最も孔雀らしいクジャクゴケをその目で見てみてくださいね。
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